こういう方法があるんだよ。
というのを
動物と暮らす飼い主様には、ぜひ知っていただきたいと思います。
ハズバンダリートレーニングとは
犬が不安や恐怖を感じる刺激に対して慣れさせ、不安や恐怖を感じやすい作業を不快感なく受け入れられるようにしていくトレーニングのことです。
『不快』に感じやすい刺激を『楽しい』刺激と感じてもらえるように、『フード』や『おやつ』などを用いて慣れさせていきます。
元々は動物園や水族館などで過ごす大型の動物の診察や採血、移動などのために用いられ始めました。大型の動物を人間が力で抑えることはできません。動物が『自発的に』診察や採血などに協力的な行動をしてくれたり、移動してくれたりするようにトレーニングしています。
人が抑えつけたり、抱きあげたりできてしまうためか、犬に対してこの『ハズバンダリートレーニング』を取り入れている施設は少なかったです。しかし、近年、犬のストレスに配慮して、犬に対しても『ハズバンダリートレーニング』を用いる施設が増えてきています。
特に犬のストレスとなりやすい刺激、作業工程の多い『トリミング』に対して取り入れられてきています。
ハズバンダリートレーニングの一例
チワワの未来ちゃんのブラッシングの様子です。
未来ちゃんとの約束は、チンレスト(タオルに顎を預ける)をしてくれている時はブラッシングします。
タオルから顎が外れたら、ブラッシングは止めます。
未来ちゃんがチンレストをしてくれたら、ブラッシングをしてもいいよの合図です。
チンレストをしてくれるかどうかで、未来ちゃんが自発的に協力してくれているかどうかがわかります。
お耳にできた毛玉を取りたいときも活用しています。
タオルから顎を離すだけで、作業を止めるので、
人側も動物のサインを見逃すことなく、無理やりやる必要がありません。
動物側も止めてほしいからと、唸ったり、噛んだりする必要がありません。
トリミング時に犬が不安や恐怖を感じることに対して私たちも理解しておきましょう。
- 犬は慣れない場所であるトリミングサロンに対して恐怖を感じることがあります。
- 初対面、またはたまにしか会うことのないトリマーに全身を触られることになります。
- 狭い浴室で動きが制限され、ザーザーと音がひびくなかシャワーで何度も濡れることになります。
- ドライヤーやバリカンなどの大きな音に曝されます。
- ハサミ、バリカン、爪切りなど見慣れない道具が近づけられます。
- 足先を持たれて爪切りをされたり、マズルを持たれて顔周りをカットされたりします。
- トリミングは普段経験することのない高い場所(トリミングテーブルの上)で行われます。
- トリミングは1-2時間程度、トリミングテーブルの上で大人しくしていてもらわなければなりません。
トリミングで行う作業が嫌いになる前に『楽しく』経験させてあげることが理想です。
しかし、トリミングが嫌いになってしまった場合、犬が不快、苦手に感じる作業については無理やり作業を進めないようにし、練習しながら少しずつ取り組んでいくことで克服していくことも可能です。
トリミングは犬の健康のために、生まれてから亡くなるまでの十数年ずっと必要になります。
トリミングが嫌いになってしまうと、その十数年をずっとストレスを抱えて生活していかなければなりません。
ドッグギャラリーでもハズバンダリートレーニングの知識と技術を取り入れ、犬の不安や恐怖を取り除いてケアができるように取り組み始めます。
しかし、すべてをハズバンダリートレーニングを用いてすすめていくことは、現状とても難しいのも事実です。
ハズバンダリートレーニングとはいかなくても
動物のストレスを軽減して作業をすすめてあげることは可能です。
ドッグギャラリーの幼稚園でのシャンプーの様子
ドッグギャラリーの幼稚園に通いながら、シャンプーをする時は
トリーツを使いながら、シャンプーをしたり、ドライヤーをあてたりしています。
犬が我慢して受け入れてくれるのではなく、リラックスして受け入れてくれるように工夫をしていきます。
ドッグギャラリーには動物が大好きなスタッフばかりです。
大好きな動物たちが不安や恐怖を感じながら、ドッグギャラリーを訪れなければならないことはとっても悲しいことです。
ドッグギャラリーに楽しく来店してもらえるように、スタッフ一同新しい一歩を踏みだしていきたいと思います。
しかし、私たちスタッフだけでなく、飼い主様のご理解とご協力がなくては成り立ちません。
ワンちゃんが激しいストレスを感じている場合は、
ケアを途中で中止させていただいたり、
ブラシや爪切りなどを好きになってくれるように、触れることを好きになってくれるようにおうちで練習をしていただいたりすることがあるかもしれません。
ドッグギャラリーと飼い主様とが一丸となって一歩踏み出し、
動物と動物に関るすべての人が苦痛やストレスを感じることのない世界を目指していきませんか?